海や山、川、田園など、その場所だけの風景を列車に乗っているだけで見ることができるのは、ローカル線ならではですよね。この記事では、鉄道ファンや旅好きの人たちに人気のローカル線と各路線の見どころを紹介します。先を急がない各駅停車の旅を計画してみませんか?

 

1.道南いさりび鉄道(北海道)

2016年(平成28年)3月に開業した道南いさりび鉄道。木古内(きこない)駅~五稜郭(ごりょうかく)駅を約1時間で結ぶ38kmの路線です。見どころは、昼と夜の車窓からの眺め。日中の明るい時間は函館山や津軽海峡の広々とした風景を、夜間は漁火(いさりび、イカ釣り船の集魚灯の光)を車窓から見ることができるのです。

 

豪華寝台列車北斗星が保存された茂辺地(もへじ)駅、トラピスト修道院が最寄りにある渡島当別(おしまとうべつ)駅の他、五稜郭駅で下車すれば五稜郭跡にも立ち寄れます。

 

2.JR五能(ごのう)線(青森・秋田)

日本海の海岸沿いを走るJR五能(ごのう)線。青森県の川部駅~秋田県の東能代(ひがしのしろ)駅の43駅を結ぶ全長147.2kmの路線です。

 

車窓からの絶景で有名なこの路線。世界自然遺産の白神山地、日本海、岩木山、日本海に沈む夕日など、見どころがいっぱい。古くは映画「男はつらいよ」に登場した驫木(とどろき)駅は、日本海を背景に建つ昔ながらの木造駅です。

 

3.JR只見(ただみ)線(福島県~新潟県)

冬は豪雪地帯となる只見川沿いを走るJR只見(ただみ)線。福島県会津若松駅から新潟県小出駅の36駅を結ぶ全長135,2kmの路線です。

 

会津盆地の農業地帯や車窓の外に続く山間部の風景、鉄橋から眺める絶景ポイントなど、見どころが多いこの路線。新緑や紅葉の季節、雪が積もる時期など、季節ごとに異なる風景を楽しめるのが特徴です。水面の色が美しい田子倉(たごくら)湖、只見川の真横に建つ会津川口駅なども見逃せません。

 

※会津川口~只見駅間は、過去の災害の影響により現在不通。バスによる代行輸送が行われています。復旧工事の完了は2022年度上半期予定とのことです。

 

4.鹿島臨海鉄道(茨城)

茨城県水戸駅~鹿島神宮駅の16駅を結ぶ全長53kmの鹿島臨海鉄道。日本でも希少な非電化路線で、ディーゼル車での運転を行っています。運転席横に備えられた運賃箱や天井の扇風機など、昔ながらの列車の風情が楽しめる路線です。

 

終点の鹿島神宮駅から徒歩10分の鹿島神宮は、日本全国にある鹿島神社の総本社です。

 

5.いすみ鉄道(千葉)

いすみ鉄道は、千葉県いすみ駅~上総中野駅(かずさなかのえき)の14駅を結ぶ全長26.8kmの路線です。

 

おすすめは、春。3月初旬~4月初旬まで咲く菜の花、3月下旬から開花するソメイヨシノが咲く様子を、車窓から眺めることができるのです。特に見ごとなのは、国吉駅、城見ケ丘(しろみがおか)駅~大多喜駅間、総元(ふさもと)駅。花畑の中を走る列車を途中下車して眺めたり写真に収めたりするのも良さそうです。

 

国吉駅にある「ポッポの丘」は、引退した鉄道車両をお店として利用するユニークなスポットです。鉄道グッズや地元の名産品が購入できる他、カフェも併設しています。

 

6.JR大糸(おおいと)線(長野・新潟)

大糸(おおいと)線は、長野県松本駅から新潟県糸魚川(いといがわ)駅までを結ぶ42駅全長105.4 kmの路線です。松本駅から糸魚川駅までの標高差は、約820m。松本駅から南小谷駅間はJR東日本、南小谷駅から糸魚川駅間はJR西日本の管轄(かんかつ)です。

 

雪におおわれた北アルプスの山々、安曇野の田園風景、湖や渓谷など、季節ごとに変化する大自然の風景を堪能できる路線です。夏は登山、冬はスキーを楽しめるスポットが周辺に点在しています。

 

7.JR氷見(ひみ)線(富山)

JR氷見(ひみ)線は、富山県高岡駅から氷見駅までの8駅を結ぶ16.5 kmの路線です。富山湾をすぐ近くに見ながら走るこの路線。車窓から、富山湾の向こうに広がる立山連峰が眺められる路線として知られています。氷見駅のある氷見市が漫画家藤子不二雄Aの出身地であることから、「忍者ハットリくん」のラッピング車両が走っていることでも有名です。

 

一番の見どころは、雨晴海岸(あまはらしかいがん)。雨晴駅(あまはらしえき)近くにあるこの海岸に立つと、女岩(めいわ)と呼ばれる岩と富山湾、標高3000メートル級の立山連峰が背景に広がる絶景を目にすることができます。

 

8.嵯峨野トロッコ列車(京都)

嵯峨野トロッコ列車は、トロッコ嵯峨、トロッコ嵐山、トロッコ保津峡、トロッコ亀岡の

4駅を結ぶ7.3 kmの路線です。ディーゼル機関車を先頭にした5両編成のトロッコは、木製車両で、車内も木製椅子と裸電球が灯る昔なつかしい造り。5両のうち「リッチ号」と名付けられた車両は、窓ガラスのないオープンな車両です。

 

平均速度25kmで運行する路線では、春に咲く桜や夏のみずみずしい新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、季節ごとに表情を変える渓谷の風景が楽しめます。見どころポイントに差し掛かると速度を落として走ってくれるので、じっくりと風景を眺められるのがいいですね。

 

※嵯峨野トロッコ列車は全車指定席、全車禁煙。途中下車は無効です。

 

9.JR土讃(どさん)線(香川・高知)

土讃(どさん)線は、香川県多度津(たどつ)駅から高知県窪川(くぼかわ)駅までの18駅を結ぶ全長198.7 kmの路線です。

 

瀬戸内海を出発点に、四国山地を越えた後、雄大な太平洋へと続く土讃線。各駅には、観光名所や見どころがいっぱい!四国八十八ヶ所の札所のひとつである総本山善通寺、四国を代表する観光名所金刀比羅(ことひら)宮、秘境駅として知られる坪尻駅。渓谷美が楽しめる大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)、「アンパンマンミュージアム」など、魅力的なスポットが点在しています。

 

10.JR指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線(鹿児島)

JR指宿枕崎線(いぶすきまくらざき)線は、鹿児島県鹿児島中央駅から枕崎駅までの36駅を結ぶ全長87.8kmの路線です。薩摩半島の東側から南端の海岸線をめぐる指宿枕崎線の車窓からは、薩摩富士と呼ばれることもある開聞岳(かいもんだけ)や錦江湾(きんこうわん)などの美しい風景が広がります。

 

コアラやホワイトタイガーに出会える「鹿児島市平川動物公園(五位野駅)」や、指宿(いぶすき)駅が最寄りの天然砂むし温泉、薩摩半島最南端の岬である長崎鼻(ながさきばな)などの観光名所があります。

 

注目したいのが、JR日本最南端の駅である西大山駅。ホームから開聞岳を一望できることで知られています。この駅は、12月末~2月の菜の花、夏のひまわりが咲く花の名所でもあります。駅前に設置された「幸せを届ける黄色いポスト」や「幸せの鐘」も忘れずに見学してみてください。

 

ローカル線を楽しむ時に注意したいこと

・列車の本数が少ない路線があります。時刻表を確かめた上で旅程を組んでください。

・春の花や秋の紅葉の季節など、一部の路線では混み合うことがあります。早めに現地に到着する、指定席の場合は事前に前売り券を購入するなどしてください。

 

途中下車しながらのんびりと回りたいローカル線を紹介しました。車窓に広がる風景をゆったり楽しむ各駅停車の旅、ぜひ計画してみてくださいね。