ペット

自分の万一に備えて、ペットのためにできること

 

ペットは家族同然、この先もずっと一緒に暮らしていきたい考える人は多いのではないでしょうか? そんな中、「自分にもしものことがあった時、残されたペットはどうなるのだろう?」と考えたことはありませんか?万一に備えてペットのために準備できることをご紹介します。

ペットを飼う人が増加中

ある調査によると2020年(令和2年)10月現在、全国でペットとして飼われている犬の数は約849万頭、猫は約964万頭との結果が出ています。2020年は、自粛生活の影響もあり、過去5年のうちでも飼育数の伸び率が高くなりました。犬と猫の合計数は15歳未満の人口よりも多く、ペットを飼う家庭が子どものいる家庭よりも多いということもわかっています。

動物愛護管理法

2013年(平成25年)に、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が改正・施行されました。その中で注目されたのが「終生飼養」の項目です。これは、飼い主にペットを最後まで飼い養う責任があるという取り決めです。

 

ただ、どうしても飼えない事情ができたり、飼い主が先に亡くなってしまったりという可能性はゼロではありません。

 

飼い主がなんらかの事情でペットと一緒に過ごせなくなった時でも、ペットが安心して暮らせるようにするためにはどのような方法があるのでしょうか? 「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」と「負担付死因贈与契約(ふたんつきしいんぞうよけいやく)」、「ペットのための相続信託」の3つの方法について紹介します。

負担付遺贈

負担付遺贈(ふたんつきいぞう)は、遺贈者(いぞうしゃ、遺産を贈る人)が、受遺者(じゅいしゃ、遺産を受け取る人)に財産を相続する際に、一定の義務を取り決めること。

 

ペットの場合の負担付遺贈であれば、ペットの世話にかかるペットフードやおやつ代、健康診断の費用、病気やケガの治療費、シャンプー・カット・トリミング料、交通費など、様々な費用を遺産として残す条件として、責任を持ってペットを飼育するという義務を加えるのです。

 

「残されたペットの世話をすることを条件に、一定分の財産を渡す」などのように、遺言を書いて残すことで有効になる方法です。この方法は、受遺者との話し合いなどで了承が得られていれば飼い主としても安心な方法です。信頼できる人に受遺者になってもらえるのであれば、検討してみてもいいかもしれません。

 

注意点

飼い主の意向で遺言を残し負担付遺贈の手続きをしていた場合でも、受遺者は遺産の受け取りを受諾するか放棄するかを自由に決めることができます。

 

受遺者側にも様々な状況の変化があることを考慮すると、確実性という点では少し不安が残る方法です。そのような場合も考慮して、遺産を受け取った人が遺言書の内容通りにペットの世話をおこなっているかどうかをチェックする「遺言執行者」を遺言の中で決めておく方法があります。遺言通りに義務が果たされなかった場合は不履行になり、法的な手続きも必要になるため、弁護士などの法的実務にくわしい人を遺言執行者として選ぶことが多いようです。

負担付死因贈与契約

負担付死因贈与契約(ふたんつきしいんぞうよけいやく)は、遺産を贈る人と受ける人との間で、合意内容を契約で交わす方法です。契約には公正証書を利用するのが安全で確実とされています。

 

ペットの場合の負担付死因贈与契約では、「ペットの世話をすることを条件に遺産を贈る」という契約になります。契約が成立した時点で贈与を受け取る側は合意しているとみなされます。この場合は契約になるので、受け取る側が一方的に放棄することができません。そのため、負担付遺贈よりは確実性がある方法といえます。

 

注意点

負担付遺贈や負担付死因贈与契約の場合、財産を受け取った人にペットの世話をする義務は発生するものの、遺産はペットの世話以外にも使うことができるとされています。

 

ペットのためだけに遺産を残したいという場合は、次に紹介するペットのための相続信託という方法があります。負担付遺贈や負担付死因贈与契約よりも安心な方法として、近年注目されています。

ペットのための相続信託

信託とは、委託者が自分の財産を信頼できる受託者に預けて、一定の目的のために受託者に財産を管理してもらう制度です。

 

ペットのための相続信託は、ペットの生活に必要となる費用を「信託財産」として監督人に預けておき、財産の管理をまかせる仕組みです。この場合の監督人は、NPO団体や一般社団法人がおこないます。相続信託の手続きについては、弁護士や行政書士、司法書士などに相談できます。近年、ペットのために信託をおこなう団体が増えており、利用者も増加しています。

 

ペットのための相続信託では、ペットの世話をまかせる人や施設などを事前に指定しておくことができます。ペットの世話をまかされた人は、信託契約で決められた範囲でのみ支出が認められます。そのため、信託した予算をペット以外のことに使われる心配がありません。

 

信託契約が適切に守られているかどうかをチェックするために、「信託監督人」という第三者機関を設置できるのも安心な点です。

 

受託者が自宅でペットの世話をできない事情ができた場合。受託者が、施設やペットシッターにペットを預けたうえで、信託財産の中から費用を支払うという方法も可能です。

 

注意点

信託を契約する時点で、飼育費用を準備する必要があります。この点が負担付遺贈や負担付死因贈与契約とは異なります。

 

負担付遺贈(ふたんつきいぞう)と負担付死因贈与契約、ペットのための相続信託の3つの方法について紹介しました。それぞれを検討する場合は、弁護士や行政書士、司法書士などに相談することをおすすめします。最初は、自治体が無料でおこなう法律の相談窓口に相談してみてもいいでしょう。

 

大切なペットが残された時でも安心して暮らせるように、準備できることをしておきたい。そんな時の選択肢に入れてみてくださいね。

 

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  • この記事を書いた人

starheart

数年前からフリーランスのライターとして仕事をしながら、アジアや沖縄を旅しています。旅先では、市場めぐりや食べ歩きを楽しんだり、自然のある場所に出かけたりすることが多いです。お菓子作りが趣味で、素朴な焼き菓子をよく作ります。生活の中でちょっとした工夫をすることも好きです。

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