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60歳からペットを飼いたいと思ったら?

自分自身や家族の退職、子供の独立などで、時間や気持ちの上での余裕ができる60歳以降。趣味や旅行など、過ごし方は色々ありますが、この機会にペットを飼いたいと考える方も多いのではないでしょうか?

 

60歳でペットを飼いたいとまわりの人に伝えると、反対と賛成の両方の意見が聞こえてくるかもしれません。将来の体力や健康のことを考えると難しいと考える人もいれば、60歳ならまだ新しいことに挑戦できる年齢だし、ペットを飼うことでかえって健康で元気に過ごせるという意見もありそうです。

 

ペットは飼い続けたいけれど……

ある調査で60代の人に向けて「ペットを飼って良かったことは?」の質問をしたところ、「慰められたり気持ちが軽くなったりした」「ペットがきっかけとなって家族の会話が増えた」「運動する機会が増えた」「寂しさが消えた」などという答えが上がっています。ペットとの暮らしが、日々の生活を充実させてくれることは間違いないようです。

 

調査「ずっとペットを飼い続けたいと思いますか?」の質問には、90%以上の人が「飼い続けたい」と答えたのだとか。けれども、ずっとペットを飼い続けたいと答えた人でも、自分の病気などペットの世話ができなくなった時のことまで考えている人は、20%程度だったとか。遠い将来を想像するのは、難しい一面があるので、それもわかるような気がします。

 

ペットをめぐる問題

じつは近年、飼い主がペットよりも先に亡くなる例や、健康や経済的な理由で飼い続けることが困難になった犬や猫が、動物保護団体などに引き取られる事例が増えているのだそうです。このような場合、ペットも年をとっていることが多くなり、新たな飼い主も見つかりにくくなるのだとか。その結果殺処分になってしまうという問題も起きているのです。

 

60歳はペットを飼い始める年齢の分岐点

「60歳だからペットを飼うのは無理」と単純にあきらめる必要はありませんが、これからの時代にペットを飼いたいと考える人は、将来について具体的に考えてからペットを買い始めることが必要とされているのかもしれません。ペットの中で寿命が長いといわれる犬や猫は平均寿命が14~15年です。60歳で飼い始めた場合、ペットが平均寿命の15年間生きると飼い主は想定すると、飼い主は75歳になっています。年齢的に考えても、60歳はペットを飼い始める最期の分岐点といえるのかもしれませんね。

 

ペットを飼い始める前に

ある調査によると、60歳以上の人に人気のペットは犬や猫で、多くの人は、ペットショップ、続いて友人や知人から譲り受けて飼い始めることが多いようです。ほかにも、ブリーダーや飼い主募集サイトなどがありますが、この時「かわいいから」という理由だけで決めないことも大切です。

 

犬であれば、小型犬で見た目がかわいくても、活発で運動量が多い犬種もいます。見た目に一目惚れして飼い始めたけれど、自分の体力が追いつかなかったという事例もあるようです。もちろん好みも大切ですが、自分が日常的に世話をできるかどうかも視野に入れるようにしましょう。特に初めて飼う人は、自分が飼いたいと思うペットの飼育書などを読んで知識を得たり、友人や知り合いでくわしい人がいたら話を聞いてみたりするのもおすすめの方法です。

 

「動物愛護管理法」など飼い主の責務に関する法律も制定されているので、自治体などでパンフレットをもらって読んでおきましょう。

 

将来の備えてできることはあるの?

将来のことは、自分自身にもわからないことが多いです。ペットを飼いたいけれど経済的な不安があるという人はペット保険、自分にもしものことがあった時にペットをどうすればいいのか不安という人は「ペット信託」を検討してみてもいいいかもしれません。いざという時のために、備えを作れたら安心です。

 

もしもの時に備えられるペット保険とは?

ペットは公的な健康保険がないため、治療費は100%自己負担ですが、最近は、ペットが怪我や病気をした時に補償を受けられる、犬や猫のためのペット保険が増えています。ペット保険に入ると、ペットの怪我や病気でかかった治療費が補償されるのでいざという時でも安心です。

 

補償内容や保険金は、さまざまです。試しに「4歳、トイ・プードル、70%の補償」の場合でインターネットから見積もりをしてみると、月額の保険料は2,000円前後でした。手術はもちろん通院でも補償があるので、このペット保険があれば、気になる症状がある場合にも治療費の心配をせずに獣医師に連れて行けますね。

 

ペット保険に入れるのは、生後90日以降満12歳まで。ペットの年齢を変更して、「12歳、トイ・プードル、70%の補償」で保険料を調べてみると、加入できる保険の数が減り掛け金も2~4倍程度になりました。ペットの年齢が上がると保険料も高くなるのですね。

 

ペット保険は、インターネットからも手続きが可能です。ペット保険の場合、契約完了後にペットの健康を確認するための待機期間が設けられていて、その間は補償がないので注意しましょう。ペットの体調が気になる時、獣医師に相談できるサービスがついたペット保険もありますよ。

 

世話ができなくなった時でも安心のペット信託

ずっと健康でペットと一緒に過ごしたいと気持ちでは思っていても、突発的な事故や怪我、大きな病気になって長期入院、老人ホームなどの施設に入ることになったなど、予測できないことが起こった時のために「ペット信託」の利用を考える人が増えているようです。

 

ペットは、法律上「物」として分類されるため、ペットのために財産を遺すことはできません。「ペット信託」は、飼い主に飼えない事情ができた時のために、必要となる費用を残すことで、ペットの世話を委託できる制度です。

 

ペットの世話を頼める人が身近にいる場合
あらかじめ、家族や親戚、友人、老犬・老猫ホームなど、ペットの世話を引き受けてくれる人を決め、弁護士や司法書士を通じて信託内容を決め公正証書遺言を作ります。この時、ペットの飼育がきちんとされているか、健康状態が大丈夫かなどをチェックする立場として信託監督人(民間非営利団体のNPOなどに委託可)を指定することもできます。信託監督人を指定することで、ペットがきちんと世話をされているかを見守ってもらえのは、安心ですよね。

 

ペットの世話を頼める人がいない場合

専門の信託機関を通じて、終生飼養契約と金銭管理契約を結び、終生飼養費用を託すという方法が利用できます。飼い主にもしものことがあった時、委託を受けた機関(民間非営利団体のNPOなど)が責任を持って里親探しを行い、ペットを里親に託した後も飼育や健康状態をチェックをチェックする信託監督人を請け負うというという方法です。この場合は、飼い主がペットの世話をできなくなったことを知らせる「通知人」がいれば利用できるとのこと。

 

ペット信託のいいところは、飼い主が亡くなった後だけではなく、生きている間でも世話ができなくなれば利用できるという点です。

 

60歳からペットを飼いたいと思った時に知っておきたいペット周辺の事情や、ペット保険、ペット信託などについて紹介しました。シニアや高齢者がペットを飼う時にサポートしてくれる獣医師ネットワークなどもあるようです。60歳以降の人生で、ペットと一緒に有意義な時間を過ごしたいと考えている方は、参考にしてみてください。

 

 

  • この記事を書いた人

starheart

数年前からフリーランスのライターとして仕事をしながら、アジアや沖縄を旅しています。旅先では、市場めぐりや食べ歩きを楽しんだり、自然のある場所に出かけたりすることが多いです。お菓子作りが趣味で、素朴な焼き菓子をよく作ります。生活の中でちょっとした工夫をすることも好きです。

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