皆さん、こんにちは! 

常識に縛られず、驚くような発想と行動力で世間をアッと言わせる「規格外の稀な人」を追いかけている、稀人ハンターの川内です。

まもなくゴールデンウイークが始まりますね! 

僕はいつも「観光地を巡る」以外の楽しみ方を提案したいと思っているので、今回は北海道でレア&楽しい体験ができる場所を紹介します!

(編集部注:執筆依頼をした2021年春頃、GWにはそろそろ旅行なども少しずつできるようになっていますように・・・と願っていましたが、なかなかむつかしい状況が続いております。思い通りに旅行が楽しめない分、本記事を読んで異なる土地に想いを馳せていただけますと幸いです。コロナ禍が収束したら行きたい場所リストをつくるのもいいですね!)

 

カーリングの聖地

そこは、北海道北見市の常呂町(ところちょう)。地図で見ると、広大な北海道の右上あたり、オホーツク海とサロマ湖に面した人口3000人ほどの町です。この小さな町になにがあるのかって? カーリングです。

カーリング? とクエスチョンマークを浮かべている方、思い出してみてください。4年に一度開催される冬のオリンピックで、毎回話題になりますよね。ストーンと呼ばれるハンドルがついた円盤状のものを氷上に滑らせて、ブラシでゴシゴシこする、ちょっとユニークな見た目のスポーツです。

カーリングが根付く常呂町

カーリングが根付く常呂町

日本の競技人口はおよそ3000人で、そのうちの2000人は北海道にいると言われています。なかでも日本一のカーリングどころとして知られるのが、常呂町。2018年の韓国・平昌オリンピックで銅メダルを獲得した日本の女子代表チームの選手5人のうち4人が常呂町出身者で、さらにこれまでの五輪でもカーリング女子・日本代表選手の半数以上を輩出してきました。

 

ちなみに、平昌オリンピックの女子代表選手は全員、常呂町を拠点とする女子カーリングチーム「ロコ・ソラーレ」の選手です。

 

「カーリングの聖地」とも称される常呂町には、カーリング専用屋内競技場「アドヴィックス常呂カーリングホール」があります。国際大会にも対応した国内最大の専用屋内施設で、ロコ・ソラーレの選手の練習や国内外の大会でも使用されています。野球なら東京ドーム、サッカーなら国立競技場に匹敵するようなこのホールで、なんとカーリング体験ができるのです!(要予約・有料)。

カーリング専用屋内競技場「アドヴィックス常呂カーリングホール」

カーリング専用屋内競技場「アドヴィックス常呂カーリングホール」

僕が取材に向かったのは、平昌オリンピック開幕の1カ月前。五輪直前で関連番組が増えたこともあり、以前から「変わったスポーツだな」と思っていたカーリングについてたまたま検索してみたら、常呂町のホールで体験できること、さらに初めての場合は指導もしてもらえると知って俄然興味がわき、常呂町に向かいました。

 

ひとりの男の熱意

ところで、なぜ、常呂町がカーリングの聖地になったのでしょうか? アドヴィックス常呂カーリングホールの運営管理を請け負っているNPO法人・常呂カーリング俱楽部の事務局長に話を聞きました。

 

常呂町にカーリングが根付くきっかけを作ったのは、常呂カーリング協会初代会長の小栗祐治さん。北海道とカナダのアルバータ州が1973年に姉妹提携を結んだのが縁で、1980年1月、北海道の池田町というところでカーリングの講習会が行われました。

 

カーリングの発祥は15世紀のスコットランドと言われていますが、カナダでも定着し、アイスホッケーに次ぐ冬の人気スポーツなのです。この講習会に参加し、「これは面白いスポーツだ」と思った小栗さんは常呂町でチームを結成。同年、協会も立ち上げました。

 

「五輪競技にする」と盛り上がる小栗さんの熱意にけん引され、1988年、常呂町に屋内のカーリング専用リンクが作られました。この専用リンクができたことで、1990年からは常呂町の小学校、中学校、高校の冬の体育の授業でカーリングが取り入れられたそうです。

 

当時、子どもの頃からカーリングに触れる機会があったのは、常呂町ぐらいでしょう。この町をあげた取り組みでカーリングのレベルも底上げされ、1998年の長野オリンピックでは、カーリング日本代表の選手、男女8人のうち5人が常呂町出身でした。

 

そして、2006年のトリノ、2010年のバンクーバーオリンピックに出場した常呂町出身の本橋麻里選手が中心となって、2010年にロコ・ソラーレを結成。その2年後、新たにアドヴィックス常呂カーリングホールが完成したのです。

 

「やばい」を連発

いやー、小さな町にも歴史あり! 

常呂町の歩みを聞いて、まさに聖地だと感じました。

教えてくれた先生

 

さあ、いざ体験! の前に、カーリングのルールを簡単に説明しましょう。1チーム4人で構成され、対戦相手と交互にストーンを滑らせて、ハウスと呼ばれる円の中心を目指します。1チーム8回、計16回投げた時点で中心に一番近いストーンがあるチームに得点が入ります。このサイクルを10回繰り返して、総得点を競います。

ブラシで氷をこするのは、氷を融かして氷上に水を浮かせ、ストーンの滑りをよくするため。例えば、ストーンの勢いが弱い時に全力でゴシゴシすると、しない時よりも距離が延びます。

本当はもっと複雑なのですが、詳しく説明するとコラムがルールの解説で終わってしまいそうなので、気になる方は検索してみてください。

体験会では、ストーンを投げるのと、ブラッシングの両方を教えてもらいます。テレビでカーリングを見ている限り、そんなに難しそうな競技には見えませんが(失礼!)、実際にやってみると大違い。取材時の音声データを聞くと、「なんだこれ、超やばいっすね……」「これはやばい。こんなハードだとは……」「やばい、ぜんぜん入らない……」などなど、とにかく「やばい」を連発! 

稀人ハンター川内イオ、カーリングに挑戦!

氷上でストーンを投げる際の力加減はとても繊細で難しく、10回以上投げて、ハウスのなかにおさまったのは1回のみ。氷上を勢いよく滑るストーンのスピードに合わせて早歩きをしながら、ストーンの動きを見極め、完全に止まるまでひたすら全力でブラシを動かすのも、超ハード……でも、めちゃくちゃ面白い!

1時間の体験会を終えた後、カーリングの印象はガラリと変わりました。想像をはるかに超える、奥深さと難しさと楽しさを備えたアツいスポーツなのです。僕は、カーリングを馬鹿にしていたかつての自分を恥じました。もし常呂町のカーリングホールみたいな施設が東京にあったら、流行るに違いありません。

 

取材を終えて、すっかりカーリングと常呂町のファンになった僕は、再訪を誓いました。

 

稀人ハンターの旅はまだまだ続く――。

 

この取材は、2018年に行ったものです。