生活お役立ち情報

ライフ・シフトとしての65歳からの資産運用とは?

人生100年時代

「人生100年時代」という言葉をよく聞くようになりました。これは、2016年(平成28年)に発行された「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という書籍の著者、リンダ・グラットン教授が提唱した言葉です。「寿命が100歳前後まで伸びることを見すえて、今後のライフコース(人生の間にたどる道筋)の見直しが必要になる」という意味が込められているのだそう。

 

平均寿命が伸びている 

厚生労働省のデータによると、2019年(令和元年)の日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳。1975年(昭和50年)の平均寿命が、女性が77.01歳、男性が71.79歳だったことを考えると、確実に伸びていることがわかります。平均寿命を基準にすると、定年など人生の節目を迎える65歳から平均寿命までは20年以上の期間があることになりますね。

 

年金制度の不安と資産運用

現在の日本では、少子高齢化で年金の支給額が増えています。その一方で、少子化が影響で納付される保険料は減少傾向にあります。今後の年金制度の財政がマイナス傾向になる可能性も考えられます。将来のことを考えた時、年金などを含めた生活資金について心配があるという方も多いのではないでしょうか?

 

工夫して節約する、再雇用や雇用延長などで収入源を保つなど、できることはありそうですが、手元にある資産を増やす工夫(資産運用)を始めてみるのもひとつの方法かもしれません。

 

資産運用とは?

資産運用とは、資産(現金、土地、家屋など)を貯蓄・投資しながら利益を得たり資産を増やしたりすることをいいます。資産運用と聞くとリスクが高いものというイメージがあるかもしれません。資産を増やすという点から見れば、定期預金などの預貯金も金利がつくことから資産運用のひとつといえますし、個人年金保険や終身保険などの貯蓄型の保険も資産運用に分類されるんですよ。

 

資産運用にはどのような方法がある?

資産運用には、株式投資(株価が安い時に購入した株を、値上がり後に売却することで利益を得る方法。1つの銘柄の株価が下がると資金が大きく目減りするリスクがある)やFX(業者に委託して、通貨の売買で発生する差額を利益として得る方法。取引によっては、大きな損失が発生する可能性がある))などの方法もありますが、リスクを考えると初心者にはハードルが高いといえそうです。

 

ここでは、投資信託、NISA(ニーサ)、つみたてNISA(ニーサ)など、比較的リスクが少なく初心者にも始めやすい資産運用について、それぞれのメリット・デメリットなども含めて紹介していきます。

 

これまでの人生で積極的に資産運用を考えたことはなかったけれど、今後なにかできることがあるなら検討してみたい、始めてみたいという方は参考にしてください。

投資信託での資産運用

 投資信託とは、資金を運用の専門家であるファンドマネージャーに預けます。その資金を、ファンドマネージャーが株や債券などに投資して、利益が出たら分配されるというしくみです。

 

投資信託のメリット

1.1,000~1万円など少額から始められるものが多い。

2.プロのファンドマネージャーにまかせるので、投資の知識やテクニックがなくても始めらる。

3.ファンドマネージャーが小口のお金を集めて複数の投資対象に分散投資するため、極端な値下がりや大きな損失などのリスクは避けられる。

4.取引価格である基準価額がほぼ毎日公表されるため、値動きがわかりやすく透明性が高い。

 

投資信託のデメリット

1.ファンドマネージャーにまかせるため、運用管理費用(信託報酬)などの費用がかかる。

2.利用する金融機関や証券会社などにより、入出金や口座の維持管理の費用がかる。

3.銀行預金のように元本の保証がないため、出資した額を下回る可能性がある。

 

NISA(ニーサ)

2014年(平成26年)に開始されたNISA(ニーサ、一般NISAとも呼ばれる)は、正式名を「少額投資非課税制度」といい、1年につき120万円までの投資で得られた利益を最長5年間非課税で運用できる制度です。

 

NISAのメリット

1.通常、投資信託の配当利益や売却益で、おそよ20%かかる税金が、NISAを利用すれば非課税になる。投資で10万円の利益があった場合、通常は20%の2万円が税金として課税されるが、NISAであればそのまま10万円が手元に残る。

2.日本在住の20歳以上なら誰でも口座を開くことができる。

 

NISAのデメリット

1.投資できるのは、年間で合計120万円までと決められている。

2.1人1口座のみしか開けない。

3.1年に使える投資枠は120万円まで。一度売却すると、その年は投資枠を使えなくなる。投資枠の120万円のうち80万円だけを使った場合でも、残りの40万円の投資枠は翌年に持ち越せない。

 

つみたてNISA(ニーサ)

2018年(平成30年)に始まったつみたてNISAは、毎年40万円まで20年間非課税で資産運用ができる制度です。20年間の長期間にわたり積立投資できるのが特徴です。

 

つみたてNISAのメリット

1.つみたてNISAには年齢制限が設けられていないので、65歳以上でも始めることができる。※つみたてNISAと比較されることが多いiDeCo(イデコ)は、積立てられる年齢が60歳までと決められている。

2.初心者に不向きな投資先があらかじめ除外されているため、初心者でも投資先を選びやすい。

3.通常、投資信託で配当利益や売却益にかかる約20%の税金が、つみたてNISAを利用すれば20年間非課税になる。

4.毎月のお小遣い(毎月5,000円~、10,000円からなど)ほどの金額から始めることができる。

5.毎週、毎月、半年に1回、年に2回など、自分のライフスタイルに合わせて積立(投資)するタイミングが選べる。

6.自分が希望する時に、自由に換金できる。

 

つみたてNISAのデメリット

1.定期的で継続的な積立投資しかできない。一度に40万円分を投資することはできない。

2.銀行預金のように元本の保証がないため、運用中に値下がりする可能性がある。

3.購入できるのは、金融庁が決めた条件をクリアした投資信託のみなるため、投資先の選択肢が少なめになる。

4.損益通算(一定の期間内に出た、利益と損失を相殺すること)や繰越控除(取引により出た損失を、最大3年間繰越すことができること)の対象にならない。

5.利益分は非課税として扱われるが、積み立てた金額そのものは所得控除の対象にはならない。

 

※NISAと「つみたてNISA」は、同じ年には併用ができないので注意してください。

 

65歳からの資産運用は、資産を守りながら少しずつ増やしていく方法を選ぶことが大切です。より具体的に検討したい場合は、ファイナンシャルプランナーの無料相談を利用するという方法もあります。日本FP協会などの機関が行う電話や対面での無料相談、ほかにはオンラインでの無料相談ができるところもあります。より充実した暮らしのために、上手に資産運用ができたらいいですね!

 

 

  • この記事を書いた人

starheart

数年前からフリーランスのライターとして仕事をしながら、アジアや沖縄を旅しています。旅先では、市場めぐりや食べ歩きを楽しんだり、自然のある場所に出かけたりすることが多いです。お菓子作りが趣味で、素朴な焼き菓子をよく作ります。生活の中でちょっとした工夫をすることも好きです。

-生活お役立ち情報