稀人ハンター川内イオの東奔西走記 連載シリーズ

3年連続で通いたくなる神社と願いが叶う巨石の島!東北屈指のパワースポット・金華山

皆さん、こんにちは! 常識に縛られず、驚くような発想と行動力で世間をアッと言わせる「規格外の稀な人」を追いかけている、稀人ハンターの川内です。

 

僕は島が大好きで、取材を計画する時にはいつも心のどこかで「島に行きたい」と考えています。これまでも、北は北海道の焼尻島(絶品羊肉の取材)から、南は沖縄の南大東島(島産ラム酒の取材)まで足を延ばしてきました。

 

なぜ、島を目指すのか。多かれ少なかれ、その島ならではのユニークな文化や食があるからです。本州をただ旅するだけでは出会えない、その「未知との遭遇」がたまらないんですよね。島に行こうと思うとお金も時間もプラスアルファになるけど、その価値はある! と断言します。

 

さらに! 「3年続けてお詣りすれば、一生お金に不自由しない」というご利益があるとしたら、訪ねてみたくなりませんか?(笑)  

ということで、今回は宮城県の金華山を紹介します。

 

神社の宿泊施設で1泊プラン

「山」という名の島、金華山のことを知ったのは、偶然でした。5年前、どこかいい島ないかなと検索している時に、たまたま目にしたのです。なんだか気になって調べてみて、驚きました。

 

・天平21年(西暦749年)、日本で初めて「金」が採れた場所で、天平勝宝2年(750年)、金華山に金銀財宝を司る神様、金山毘古神 (かなやまひこのかみ)・ 金山毘賣神 (かなやまひめのかみ)を奉祀し、黄金山神社が創建された。

 

・神仏習合の古来より、仏教の神様である弁財天 (べんざいてん)を守護神とし、日本五大弁財天の霊地ともされ、「3年続けてお詣りすれば、一生お金に不自由しない」と言われる。

 

・島全体が神域として信仰の対象で、東北の三大霊場 (出羽三山・恐山・金華山)のひとつであり、東北屈指のパワースポットとして知られる。

 

 情報が濃すぎて、目がチカチカする! でも、とにかくすごそう! とひとり盛り上がり、東京から片道6時間かけて金華山に向かいました。

 

金華山へのアクセスは、船。宮城県石巻市の鮎川港と女川港から日曜日に1便、定期便が出てきます。女川港からは不定期ながらも土曜に臨時便が出ていて(往復3,100円/船会社潮プランニングのホームページで運航スケジュールを要確認)、この船に乗れば黄金山神社の参集殿という宿泊施設で土曜に1泊して、日曜の便で帰ることができます。僕は、女川港から土曜日の臨時便に乗る現地1泊プランで向かいました。

サマージャンボ7億円!?

女川港からの臨時便のなかには、「金華山パワースポットめぐり」というコースがあります。地元のガイドさんから金華山と黄金山神社の話を聞くのですが、これが大正解! 

 

ガイドも務める船長さんのトークが面白い! 船が出てからパワースポット巡りが終わるまで、まるで本職のツアーガイドのように、金華山の歴史、東日本大震災の体験談、実際に金運アップした人の話などなどを流ちょうに解説してくれました。

 

「この船をよく利用されている仙台の30代の女性の方、一昨年、『当たりました!』と言ってくるんです。何かと思ったら、サマージャンボ7億円! 驚きましたねえ!」

 

実話かどうかはわかりませんが(僕が宝くじで7億円当たったら、ビビッて秘密にします)、船長さんのトークで乗客全員のテンションがアップしたのは、言うまでもありません。

 

金華山の桟橋から神社の境内までは、歩いて10分ほど。

境内に入ると、2頭の鹿がくつろいでいました。金華山では、その昔、神様が鹿に乗って現れたという言い伝えから、鹿は「御神鹿(ごしんろく)」として尊ばれています。

島内には大国主神と菅原道真を奉った金樁(かなぐい)神社、樹齢800年のご神木、お金についた不浄を洗い流す銭洗場と弁財天泰安堂、子宝に恵まれるという子安地蔵などのパワースポットがあり、一緒の船で島に渡った人たちが熱心に手を合わせていました。

 

「願い事が叶う」天柱石

僕のハイライトは、パワースポット巡りの後。実は、時間がかかるため宿泊客しか行けないポイントがあるのです。それは、神社の背後にそびえる山を登って反対側に下ったところにある、高さ20メートルほどの巨石「天柱石」。そこは、弁財天が天から降りてきた場所と言われていて、大昔から、その石の上にお金を載せることができたら願いが叶うと言われているのです。

 

「奥の院 登拝口」と書かれた入口から山に入り、1時間10分。予想以上の急斜面にヘロヘロになりながら、頂上にある大海祇(おおわたつみ)神社でお参り。そこから15分ほど山を下ると、見えてきました、天柱石! 石のふもとに行ってみると、江戸時代の通貨、寛永通宝がいくつも落ちています。江戸時代の人たちも、願いをかなえるためにお金を投げた証です。

僕は財布から小銭を取り出し、下から上に何度も投げました。でも、まったく届く気がしない。そこで閃きました。石のふもとから真上に投げるのが難しいなら、横から投げればいいんじゃない? 僕は、ちょっとした岩を登り、天柱石の真横に移動して、一投! 力みすぎて明後日の方向にお金が飛んでいって、気づきました。横に投げたら回収できない! 

 

緊張しながら、野球のピッチャーのように振りかぶり、もう一投。ピューッと飛んでいった1円玉は、天柱石の上に姿を消しました。その瞬間、チン、という小さな音が聞こえて、成功を確信しました。何度もガッツポーズを繰り返した僕は、岩を駆け下りて、天柱石に力いっぱい抱き着きました。そうして、願い事を呟きました。

 

大満足で下山し、参集殿で一泊。その夜は、金華山で暮らして28年(当時)になるという黄金山神社の禰宜(ねぎ)さんに神社や震災時について話を聞きました。

翌朝は、宿泊者だけが体験できる「大護摩祈祷」に参加しました。護摩祈祷とは、弘法大師により伝えられた真言密教の秘法。要するに仏様に祈るものなのに、黄金山神社では平安時代から現在まで受け継がれているのです。儀式はとても厳かで、大祓詞を神主さんたちと一緒に奉唱し、護摩木が燃え上がる様子を眺めていると、心身が清められた気がしました。

 

実は、2016年のこの取材の直後には、3年続けて参拝に行こうと思っていたのですが、なかなか予定がつかず、断念しました。次回は「3年連続」を念頭に、再訪します!

 

稀人ハンターの旅はまだまだ続く――。

金華山黄金神社 https://kinkasan.jp/

宮城県石巻市鮎川浜金華山5番地

TEL:(0225)45-2301(代表)

※この取材は2016年に行ったものです。

 

  • この記事を書いた人

川内 イオ

1979年、千葉生まれ。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンター。新卒で入社した広告代理店を9ヶ月で退職し、03年よりフリーライターに。06年、バルセロナに移住し、ライターをしながらラテンの生活に浸る。10年に帰国後、2誌の編集部を経て再びフリーランスに。現在は稀人ハンターとして多数のメディアに寄稿するほか、イベント企画も手掛ける。 『農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦 (文春新書)』 『BREAK!「今」を突き破る仕事論(双葉社)』等、著書多数。 ホームページ:http://iokawauchi.com/

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