「これ、小さな影ですね。すぐに手術が必要というわけではありません。定期的に見ていきましょう」
――60歳の佐藤さん(仮名)は、健康診断でそう告げられた。
前立腺に1センチに満たない“影”。
「がんかもしれない」けれど「がんとは限らない」。
不安はある。でも、確定ではない。
それから3年。病院での経過観察は続いているが、影は大きくなっていない。
けれど、彼には気になっていることがもうひとつある。
「風邪を引きやすくなった」
以前はほとんど寝込まなかったのに、最近は年に何度も調子を崩す。
熱が出ず、咳も軽い。でも、なかなか治らない。
「これは年齢のせい? それとも何かが崩れてきている?」
「がん細胞」は、誰の体にも生まれている。
こう言うと驚かれるかもしれません。
でも、これは事実です。
人の体では毎日、数千~数万個の“がん細胞のもと”が生まれています。
それでも私たちががんにならずに過ごせているのは、体の中の「監視システム」が働いているからです。
それが「自然免疫」。
白血球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞は、異常な細胞を見つけると即座に反応し、攻撃してくれます。
いわば、24時間巡回している“体の警備員”。
しかし――。
その警備システムも、年齢や生活習慣で“油断”することがあります。
・寝不足が続いている
・運動不足
・コンビニ飯が増えてきた
・ストレスが慢性的になっている
こんな毎日が積み重なると、NK細胞の働きは鈍くなり、がん細胞を「見逃す」確率が高まるのです。
「検診」だけでは防げないもの
佐藤さんのように、検診で“まだ小さな影”が見つかった人は少なくありません。
でも、その先にどう備えるか――そこにこそ、本当の意味での「予防」があるのです。
それはつまり、
“がんになりにくい体内環境”を育てる
ということ。
それは、いま何を食べているか、どんなふうに休んでいるか、どれだけ笑っているか。
こうした毎日の“普通の行動”の積み重ねです。
今日からできる、「免疫を育てる」3つの習慣
-
眠る前の30分は、スマホを見ない
→ メラトニン(免疫に関わるホルモン)が増えやすくなります。 -
週に1回は湯船につかる
→ 体温が1度上がると、免疫細胞の動きが活発になります。 -
1日ひと笑いを探す
→ 笑うことでNK細胞が活性化する研究も多数。
どれも簡単すぎて拍子抜けするかもしれません。
でも、これが「本当に意味のあること」なのです。
がん予防は、「大きな決断」ではなく「小さな選択」から始まる
怖い病気を防ぐために、私たちは大きな努力をしなければいけない――
そう思ってしまいがちです。
でも実は、「免疫を守る」ことが、最も地道で確実ながん予防になると考えられています。
体は今日も、あなたの知らないところで静かに戦っています。
その力を、もう少しだけ後押ししてあげてください。